レンズ風車
風車による発電量は風速の3乗に比例します。
水力発電はダムによって水のエネルギーを集中させます。
風力発電もダムと同様に、なんらかの仕掛けを作る事により、
風のエネルギーを風車に集中させる事によって風を増速させ、発電量を飛躍的に
増加させる事ができます。
従来、積極的に風エネルギーを集める事はほとんど、研究の対象とされておりませんでしたが、九州大学で積極的にこの研究がされ、つば付きディフューザタイプの風車が開発されました。
レンズが光を集めるように風を集める為、「レンズ」と名付けられたつば付きディフューザ(集風ダクト)は、風がつばに当たり、ディフューザ出口付近に強い渦が発生する為、背後の気圧が低くなり、低圧部をめがけて風が流れ込み、発電効率を上げるという仕組みになっています。
レンズ風車の構造
ブレード
風車の羽根をブレードと呼びます。 ブレードで風を受けて回転し電気を起こします。 レンズ風車は3枚羽根のプロペラ型の風車になります。ハブ
ブレードの取り付け部分をハブと言います。 ハブはブレードと一緒に回転します。ロータ
ブレードとハブを合わせてロータと呼びます。 よく「ロータ直径〜m」と表現する事がありますが、風車が回転した時の直径を指します。 また、風車の高さの位置づけは地上からハブの中心までの高さです。ナセル
一般的には増速機、ブレーキ、発電機がナセルの内部に収められています。 ブレードの回転は回転軸に伝わり、増速気で回転数を上げ、発電機を回します。 強風時は危険の為、自動的にブレーキ(レンズ風車の場合は風速20m/sで停止)がかかります。またレンズ風車では増速機は使用しておりません。つば付きディフューザ(レンズ体)
レンズはつば部分とディフューザ部分から構成されています。通常、流体機械は流れに対して滑らかに作られますが、逆にレンズ風車では流れを遮るようにつばを取り付け、それによって発生する渦の作用でディフューザ内に風を集めます。ヨー機構
風車は風の吹いている向きにロータを向けねばなりません。 レンズ風車では風見鶏効果により自然に風向きに応じるように設計されています。アップウインド、ダウンウインド
風上にブレードが付いている形式をアップウインド、風下にブレードが付いている形式をダウンウインド形式と言います。 レンズ風車はダウンウインド形式になります。レンズ風車の特徴
「つば付きディフューザを装着する事により2〜3倍の発電量」
先に述べた通り、ディフューザの後方に「つば」が付いています。この「つば」に風が当たる事により風が跳ね上げられ、ディフューザ出口付近に強い渦が発生する為、背後が低圧になり、低圧部目がけて風が流れ込み、発電量を2〜3倍に上る仕組みになっています。 このレンズ効果により、従来の風車よりもコンパクトで高出力、弱い風からでも発電が可能になりました。また、乱れた風でも風見鶏効果で発電可能です。「低騒音」
風車ブレードがディフューザに覆われている為、ブレードによる風切り音が大幅に減少されます。「バードストライク防止」
野鳥が風車ブレードに激突する事をバードストライクと言いますが、 ディフューザが装着されている為、野鳥が風車を認識しやすくバードストライクを防止できます。「視覚的安心感」
扇風機のブレードを囲っている網をはずして扇風機を回してみると、危険を感じます。 風車も同じく、ディフューザ無しの風車が高回転になると恐怖感を覚えます。 ディフューザの存在は安全に対する大きな安心感を生みます。
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